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VOL.5 『2001年夏〜より』
投稿者 三国ライフセービングクラブ 小川 卓(32歳・男)


私達の住む福井県は、昔 「越前」「若狭」と呼ばれていました。

 冬は日本海の荒波や一面を覆う積雪が男性的であり、夏はやさしい大自然が女性的な、日本一住みやすいとされている県です。

 県内のあらゆる場所から車で30分も走れば、海でも山でも好きなロケーションが待ち受けています。当然海の幸も山の幸も一年を通じてぞんぶんに味わえます。そして何より自然の美味しい水と空気に囲まれた「おもてなし」の県です。

 こんな福井県の北部に、私の所属する三国サンセットビーチがあります。

7月前半

・ビーチ整備開始

 社会人ボランティアと大学生が初顔合わせ。大学生の中には、本当に右も左も分からないままビーチに来たのだっていう方もいましたね。なんでも先輩に連れてこられたって。いきなり心肺蘇生を教える事になった自分もかなり緊張してしまいました。

 もっともっと勉強しなければ人に分かりやすく教える事が出来ないんだって、帰りの車の中で一人反省しましたね。

 次の週の土日は、遊泳ロープを固定する土嚢を作りました。実際私も作るの初めてだったんです。ここは自衛隊に務めている方が大活躍! 半日で約40個の土嚢を作ったのですが、改めて体力の無さを実感してしまい、翌日からジム通いをするようになりました。夏はもう来ているっていうのに。

 そう、本当自分って単純なんです。

・体力つくり

 自分は運動が苦手な方なんですが、ビーチでの活動を想像するとどうしても体を動かしたくなるんですよね、不思議と。残業でなかなか行く時間がありませんでしたが、それでも何とか持久力のアップを目指してがんばりました。実はもう30歳を越えているので、かなりきついんですよね。(笑)

7月後半

・ガード開始

 7月20日 本格的にガード開始となりました。監視台に登った時の緊張感は、なんとも言えませんね。「俺達がこのビーチを守っているんだ」って感じで。今年は天候にも恵まれたせいか、土日を中心に1日約3,000人の人手となりました。いよいよ今年も夏がやってきた!って実感しました。

 私達社会人は平日それぞれの仕事を持っていましたので、平日は大学生がガードしていました。次の週末一週間ぶりに会った時は、確実に成長している彼らの姿を見て、本当に感動しました。確かに技術はまだまだ未熟な点も多いのですが、ビーチに来ている遊泳客とのコミュニケーションが格段とアップしていました。当然体は真っ黒というか、真っ赤に日焼け。そして、ガードの合間を見ながら、社会人が学生に知識を教えていきました。人数が少ないので、担当を割り振る事など出来ません。すべてのセーバーが平等に業務を担当していきます。

8月

・メインイベント

 毎年8月11日に北陸(日本海)最大級の三国花火大会が開催されます。1週間前から24万人の人出を想定して、いろいろな準備に追われました。

 今年のメンバーは全員この花火大会が初めてだった事もあり、なんとも言えない緊張感が走ります。当日朝7時にビーチへ到着すると、もうすでに場所取りのシートがぎっしり敷き詰められていました。そして午前中には足の踏み場もない人でビーチが埋め尽くされました。一番嬉しかったのは、地元警察と役場の方に「ライフセーバー」が認知されていた事。私はこの日、遊泳に関する一切の権限をいただきました。 「頼んだぞ」の一言が大きなプレッシャーとなりましたが、一層気合が入りました。

 花火主催者側の毎年の悩みは、遊泳禁止時刻以降も海に入る人が後を絶たない事。完全に遊泳客をビーチに上げるには、最低1時間は必要とされてきました。

 ミーティングを重ね、午後4時の時報と共に遊泳禁止。指示通りにセーバーが動き出します。  4時10分 私はトランシーバーを手にしました。
「遊泳禁止完了!」「早かったぞ!、引き続きガード願います」
強制を一切せずに完了出来たのは、自分達の立場が認められた結果だと思います。警察の方からは「あんなに短い時間で、さすがやな」って言われるし、役場の方は、「来年からは1時間遅らせて5時に遊泳禁止でいいよな」っておっしゃっていました。

・秋の訪れ

 今年の秋の訪れは例年よりも極端でした。朝夕はめっきり涼しくなり、何だかとても淋しい感じでいっぱいです。誰からともなく打ち上げの話が出る度に、夏の終わりを感じました。いつしかビーチの人影はまばらになり、あんなに強烈な太陽の光も嘘のようにやさしく語りかけてきます。監視台の撤去作業は、いつもの笑顔がありません。口には出していませんでしたが、みんな共通の寂しさを感じていたはずです。

私達三国ライフセービングクラブの自慢は

 活動中本当に楽しい
 悪い事ははっきり「悪い」と相手に伝える事が出来る
 緊急時以外は命令しない
 年齢での上下関係が無い 
 そして何より笑顔と笑い声が絶えないところ

命の大切さを分かっているから、本気(マジ)なんです。

 末筆となりましたが、当クラブ運営にご協力いただいております方々へ御礼申し上げますと同時に、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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